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2008/12/13

秘密の趣味



ちょうど師走に入った頃だった。夜、商店街の路地裏を歩いていると、すぐ脇で“ガサゴソ”と音がする。反射的に目をやると、人がゴミ箱に頭を突っ込んで何やら漁っているようだ。一瞬ホームレスだろうと思い、目をそらそうとして気が付いた。「若い」。20代半ばとしか思えないほどの雰囲気で、髪型も普通、ダウンジャケットにデニム姿で、しかも太っている。秋葉原にたくさんいそうな、ごく普通のオタクっぽいデブだ。

適当にチョイスしてどこか落ち着ける場所で食えばいいものを、手づかみで一心にむさぼり食っている。まるでゾンビ映画のワンシーンを観たような衝撃にワシは数歩避けてしまったほどだ。(もし顔がこちらを向いたら走って逃げただろう)

とてもホームレスとは思えなかったので、そのことを後日娘に話したら「ひょっとしてそういう趣味なんじゃないの」といわれた。「するべきではないとわかっていながら、やらずにはいられない」。たとえば切った爪や、脱ぎ捨てた靴下の匂いをなにげに嗅いでしまう。そういう変な癖のパワーアップバージョンなのだろうか。

高級料理店のゴミ箱には、分厚いステーキや車エビの天ぷらとか、それこそ手つかずで捨ててあると聞く。彼もその魅力に取り憑かれた一人なのだろうか。だからあんなに体格もよく太っていたのかもしれない。

そういえば、どこぞの会社が売り出した「男性用ブラジャー」がバカ売れだそうだ。その「メンズブラ」だか「オレブラ」を着けている人は、「落ち着く」とか「やさしくなれる」とかいっているそうだ。冗談であってほしいがどうやら本当らしい。誰に迷惑をかけるわけではないのだからいいけど、自分だけの秘密はそっと胸にしまっておいてほしい。。。

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