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2008/08/04

ワタシのタワシ



『てのひら怪談』という本を読んでいる。これはネット上で誕生したもので、オンライン書店ビーケーワンが800字以内というルールで開催した「ビーケーワン怪談大賞」というのが母体になっている。一般の人が投稿した作品の中から優れたものをポプラ社がまとめたもので、百篇収録されている。800字という制限の中で、なかなかおもしろい作品もあるにはあるのだが、そもそもほとんどが素人が書いた文章なのだ。しかもいちいち文体が違うので大変読みづらい。

なかでも一番厄介だと思ったのは『私』という表現だ。“私”は女なのか男なのか、若いのか年寄りなのかいつまでたってもわからないのである。もちろんそんなことは必要ない場合もあるのだが、それでも読み手にイメージをわかせるのは大切なことだと思う。たとえばこんな文章があったとしよう。「そのとき私はかなり焦った。早くしないと娘をピアノへ送っていった妻がもうじき帰ってくる」・・・これなら私は男で既婚者、しかも子持ちということがすぐにわかる。

そこへいくとやはり漱石はすごい。冒頭で「我が輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。」なのだから。

話は変わって、このところ単語を片仮名で表記するのをよく目にする。キモチ、ココロ、ヒコーキ、カワイイ、トモダチ、ビョーキ、キレイなどなど他にもたくさんある。たしかにこう書くと乙女チックやロマンチックだったり、レトロっぽかったりと何となく単語自体が、書いた本人のキモチをアピールしている。とうぜん「ワタシ」も含まれる。ふつうワタシ(アタシ)と書く男は少ないだろう。

だから自分の呼び方にはもっとバリエーションを持ってもいいんじゃないだろうか。おいらとかあたい、俺、僕、うち、拙者、それがし、我、自分、わらわ、他にもたくさんあるだろう。佐知子は自分のこと“さっちゃん”っていうし、ワシは、自分のことをワシという(ワシのふるさとではある程度の年齢になると皆、自分のことをワシという)。

そこで提案だが、一言でおおよその年齢、性別を表現できる「私」に代わる言葉は作れないものだろうか。いやいや、私のままでもいいから、せめて性別を含めない場合「私」で、男性は「わたし(わたくし)」、女性は「ワタシ(ワタクシ)」というのはどうだろう。。。やっぱダメ? タワシみたいだから? タワシってカワイイと思うよ。

【ニコニコ動画】たわしねこ2 荒ぶるたわしのポーズ

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